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高精細印刷とは

高精細印刷とは、印刷の網点を現在の主流である175線(AM175線)よりも大幅に網点の間隔を細かくし、高密化することで解像力を上げ、高品質を追求する印刷技術のことです。
高精細印刷には300線(AM300線)印刷、FMスクリーン印刷などがあります。ここではこれらの特徴を説明していきたいと思います。

微細なドットによりきめ細かな画質を再現

300線の300という数字は、1インチあたりの網点(ドット)の数を表します。300線は、従来の印刷物の主流である175線より約1.7倍ドットが多く含まれるため、表現力も約1.7倍増しているといわれています。
一方、FMスクリーンの網点は、数十ミクロンの極小ドットがランダムに配置され、ドットの密度によって画像の濃淡・調子を再現しています。
FMスクリーンや300線では、網点は肉眼で確認できないほど微細となり、階調もなめらかとなります。
逆に新聞などは線数が低い(100線程度)印刷物です。肉眼で確認できるほど網点が大きいため、画像の品質は雑誌などと比べると鮮明ではありません。線数が高いほど印刷された画像の品質も高くなると言えます。
また、平アミを使用した印刷物においても、なめらかなエッジを表現できます。

AM175線、AM300線、FMスクリーンの網点の違い

高い彩度を実現し、細部のディテールも再現可能

FMスクリーンや300線では、細かい網点で色彩を印刷することにより、彩度も向上します。175線では出せないような鮮やかな印刷が可能になりますので、美術品のカタログのような色彩が大切な印刷物にも適しています。
さらに、FMスクリーンや300線では、モアレ(干渉縞)が軽減されるというメリットもあります。モアレは網点と絵柄のパターンが干渉し合うことで発生しますが、高線数の印刷物では、干渉が起きても眼に見えるレベルでのモアレはほぼ起こりません。FMスクリーンにおいては、ドットがランダムであるためそもそも干渉を起こすパターンが存在せず、モアレは発生しません。
繊維、エアコン・スピーカー・網戸等の網、ブラインド、住宅の外壁など、モアレが心配な印刷物も、FMスクリーンや300線を使うことで安心して作業ができるといえます。

従来の印刷物の問題を解消

FMスクリーンや300線を用いた印刷は、175線の網点方式における以下の課題を解決することができます。

・トーンジャンプの改善

色の濃淡階調の連続性がなくなり、段階の境界線が見えてしまうトーンジャンプを改善し、なめらかなグラデーションを保ちます。

・ジャギー(曲線や斜線がギザギザに見えること)や線切れの解消

ドットの極小化により、解像力が向上するので、平網の罫線や輪郭のジャギー・線切れが解消されます。

・ディテール再現力の向上

極小ドットにより、ロゼッタパターン(CMYKの網点が干渉しあってできるバラの花様の模様)も発生せず、細部まで鮮明に再現できます。

・モアレ(絵柄の連続模様と網点とが干渉し合って発生する模様。干渉縞)対策

ドットの極小化にや網点のランダム化により、繊維、エアコン・スピーカー・網戸等の網、ブラインドなどといった連続模様を持つ絵柄に対してモアレが解消されます。

高精細印刷が特に活きる用途

以下の画像を含む印刷物では特に高精細印刷が活躍します。

  • 貴金属や陶器(特有の硬質さや模様などきれいに表現できます)
  • 美術品(特に細かい表現の筆のタッチや表現のある絵画に最適です)
  • 家の外観写真(電線や網戸や瓦などモアレが無くなります)
  • 人物の肌(階調が滑らかになり、ムラやザラツキ感を抑えきめ細かな肌を表現できます)
  • 織物(細かい柄が鮮明に表現できます)
  • 毛髪(髪の毛の1本、1本が見えます)

以上、高精細印刷についてご説明させていただきました。高精細印刷をお考えの方はご相談ください。