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紙には表の顔と裏の顔がある?



紙には表と裏があるってご存知でしょうか?

一般的にコピー用紙と呼ばれる紙は

表も裏も同じなので、特に気にしなくてもいいのですが、

表と裏で違う紙もあります。

通常、表面に印刷することが多いと思いますが、

今回は特殊紙『テンカラーエンボス皮しぼ』の裏面

オンデマンド印刷した事例をお話したいと思います。

何故、裏面でオンデマンド印刷することになったのかは

印字テストをしながら、ご説明していきますので、

最後までお付き合いください。

『テンカラーエンボス皮しぼ』ってどんな紙?

『テンカラーエンボス皮しぼ』の表面には、凹凸があります。

皮独特の微妙なシワの美しさを、エンボス加工によって再現した紙です。

オフセット印刷の場合、インキは紙に浸透しますので、凹凸があっても印刷できます。

問題は、オンデマンド印刷です。

オンデマンド印刷の場合、トナーを使用して、熱で色を定着させるため、凹んだ部分の文字等が欠けてしまうことがあります。


今回、厚みの違う、四六130㎏と215㎏の2種類で印字テストを行いました。


【130㎏の場合】

紙の厚みが比較的薄いため、凹凸の差はあまりなく、ほぼ問題なく印字できました。


【215㎏の場合】

表面を手で触ると、凸凹しているのがわかります。

平らな部分は問題なく印字できましたが、凹んだ部分は、インクが定着しない箇所がありました。

【130㎏】印字テストのように問題なく印刷できますので、

実際、挨拶状などでオンデマンド印刷の受注履歴があります。

【215㎏】飲食チェーン店のプライスカードを定期的に受注していた時の事例です。

メニュー入れ替え時期に全店共通のプライスカードをオフセット印刷していましたが、

店舗から店舗オリジナル商品用のプライスカードも作ってほしいとの依頼があって

困っていますとの連絡をいただきました。

プライスカード数枚のためにオフセット印刷すると割高になるため、

安価な方法として、オンデマンドでテスト印刷してみたのですが・・・

案の定、凹んだ部分は一部文字が欠けてしまいました。

凸凹模様は一定ではないため、

例えば、数字の『8』は、一部欠けると『3』に見えてしまうリスクもあり、

オンデマンド対応は無理・・・と諦めかけましたが、

何気なく紙の裏面を見ると、表面と同じ模様はありますが、平らなので、

試しに印字してみることに。

表面の凸凹による独特な風合いはなくなってしまいますが、

文字欠けもなく、安価なので、これで十分です。と

クライアント様にもご満足いただけました。

物事は、先入観にとらわれず、色々な面から考えると

良い結果に繋がるかもしれませんね。


文:古家 真理子

レイアウト:ことは